子どもができたとき、多くの人が育休を取得すると思います。
ここで1つ質問です。「育休」を略さずに言うと何になるでしょうか?
「育児休業」や「育児休暇」などの言葉が挙がるのではないでしょうか。
では、「育児休業」と「育児休暇」には、どのような違いがあるのでしょうか?
今回の記事では、「育休」が育児休業と育児休暇のどちらを指すのか、どのような違いがあるのかについて紹介していきたいと思います。
パパやママになるとき、仕事でお休みを取得したり、手当を受け取ったりするためにいくつかの手続きが必要になります。
育休やその他のお休みがどんなものなのか知ることは、自分にあった働き方・休み方をするためにも重要です。
自分だけではなく、身近な人がパパやママになる場合にも備えて、知っておくに越したことはないでしょう。
それではここから、「育休」について詳しく見ていきましょう!
答えから言えば、「育休」は多くの場合「育児休業」のことを指します。
その一方で、「育児休暇」と呼ばれるお休みも別にあるので、区別・使い分けが必要です。
ここからは、育児休業と育児休暇の違いについて見ていきましょう!
育児休業と育児休暇の違いは以下の表1のようにまとめられます。
育児休業 | 育児休暇 | |
---|---|---|
概要 | 国が法律で定めた公的な制度 | 従業員の育児支援のために設けられる会社の制度 努力義務 |
対象者 | 満1歳(※原則)の誕生日を迎える前の子どもを養育している従業員 ※一部例外あり |
企業による |
給付金 | 「育児休業給付金」がある | 企業による |
取得可能期間 | 原則子どもが1歳未満(最長で2年未満)まで | 企業による |
申請期間 | 1ヶ月前まで | 企業による |
分割 | 2回まで分割して取得可能 | 企業による |
まず前提として、育児休業は法律で勤務者の権利として認められていますが、育児休暇は企業の努力義務とされており、企業ごとに独自に設ける制度です。
すなわち、育児休業は対象者がいればどの企業でも取得できますが、育児休暇は企業によりそれに加えて設けられるお休みで、必ずしもすべての企業にある制度ではありません。
そのため、表1からも分かる通り、育児休業は対象者や期間などの最低条件が法律で厳格に定められていますが、育児休暇は企業が自由に決められます。
育児休業は原則として子どもが1歳になるまでの1年間取得できます。※1
また、例外的に子どもが1歳になった後の期間も取得できることがあります。
具体的には、子どもが1歳に達しても保育所が見つからないなどのやむを得ない理由がある場合や、パパ・ママ育休プラス制度という制度で、パパママどちらかが後から育児休業を開始する場合です。
パパママ育休プラスについて詳しく知りたい方は、こちらの厚生労働省のページをご覧ください。
パパ・ママ育休プラスについて(pdf)
一方、育児休暇は、子どもが小学校に就学するまでの期間に育児休業とは別に会社が用意するお休みです。正式には育児目的休暇と呼ばれています。※2
いつ、どういう目的で、どのくらいの日数が取れるのかは企業によって異なります。内容や名称はさまざまで、例えば、出産日や入園・卒園時などの際に取得できるようにしている企業もあります。
育児休業や育児休暇と混同しやすいお休みとして、「産後パパ育休(出生時育児休業)」があります。
「産後パパ育休」は、育児休業・育児休暇のどちらとも違うお休みです。
産後パパ育休と育児休業の違いは下記の表2のようにまとめられます。※3
産後パパ育休 | 育児休業 | |
---|---|---|
概要 | 国が法律で定めた公的な制度 | 国が法律で定めた公的な制度 |
対象者 | 出生後8週間以内の子どもがいる従業員 | 満1歳(※原則)の誕生日を迎える前の子どもを養育している従業員 ※一部例外あり |
対象期間 取得可能期間 |
子の出生後8週間以内に 4週間まで取得可能 |
原則子どもが1歳(最長で2歳)まで |
申請期間 | 原則2週間前まで | 原則1ヶ月前まで |
分割 | 2回まで分割して取得可能 (初めにまとめて申し出ることが必要) |
2回まで分割して取得可能 (取得の際にそれぞれ申出) |
産後パパ育休はその名の通り、主にパパが取得することを想定したお休みです。
出産後のママは生後8週間まで産休(産後休業)でお休みできるので、産後パパ育休もそれに合わせて生後8週間以内でお休みを取れるような制度になっています。
取得できる期間が育児休業と重なっていますが、育児休業とは別に取得できます。
この制度によって、出産直後の忙しい時に育児休業とは別にお休みが取れることで、パパがこまめにお休みを取得できるようになりました。
産後パパ育休は、下の図1のように、2回まで分割して取得することができます。2分割することで、出産直後のママが動けずパパが必要とされる時期に取得し、その後しばらく復職した後、ママが実家から戻ってくるタイミングで再度取得するというように、ママが大変な時にピンポイントで休むことができます。
また、育児休業も2回に分けて取得可能なため、下の図2のように産後パパ育休と合わせて合計4回までお休みを取ることができます。1年間ずっと休み続けるのではなく、数週間・数か月おきに復職しつつ休みを取得することが可能です。
産後パパ育休を利用することで、産後から連続して育児休業を取得できない場合にも、小分けにお休みを取ることができ、育児と仕事の両立のしやすさに繋がっています。
産後パパ育休について詳しくは、こちらの厚生労働省のページをご覧ください。
育児・介護休業法について(pdf)
ここまで育児休業と育児休暇の違いについて見てきましたが、休業と休暇の違いはどこにあるのでしょうか?
結論としては、休業と休暇の間にはっきりとした区別は存在しません。
育児休業は原則で1年取得できますが、育児休暇は通常1日か数日単位で取得されます。
一見、育児休業と育児休暇の違いは長さにあるように思えますが、必ずしも「休業=長いお休み」、休暇=短いお休み」というわけではありません。
例えば、会社側の都合で働けなくなった時のお休みは1日だけの取得であっても休業と呼ばれることが多く、労働基準法においても休業と呼ばれています。
育児休業と育児休暇の違いが、全ての休業と休暇の違いに対応しているわけではないので注意が必要です。
休業と休暇の違いについては、弊社別サイトの以下ブログ記事「4-1.休暇の概要:休暇って一体何?」もご覧下さい。
休暇と休日の違い、どれだけ知ってる?ポイントを絞ってわかりやすく解説!
なお、弊社の勤怠管理システム「キンタイミライ」でも育児休業や育児休暇への対応が可能です。
といった実績があります。
※1
育児介護休業法第5条第1項(一部)
労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業(第九条の二第一項に規定する出生時育児休業を除く。以下この条から第九条までにおいて同じ。)をすることができる。
※2
育児介護休業法第24条第1項
事業主は、その雇用する労働者のうち、その小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用することができる休暇(子の看護休暇、介護休暇及び労働基準法第三十九条の規定による年次有給休暇として与えられるものを除き、出産後の養育について出産前において準備することができる休暇を含む。)を与えるための措置及び次の各号に掲げる当該労働者の区分に応じ当該各号に定める制度又は措置に準じて、それぞれ必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
※3
育児介護休業法第9条の2第1項(一部)
労働者は、その養育する子について、その事業主に申し出ることにより、出生時育児休業(育児休業のうち、この条から第九条の五までに定めるところにより、子の出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日まで(出産予定日前に当該子が出生した場合にあっては当該出生の日から当該出産予定日から起算して八週間を経過する日の翌日までとし、出産予定日後に当該子が出生した場合にあっては当該出産予定日から当該出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日までとする。次項第一号において同じ。)の期間内に四週間以内の期間を定めてする休業をいう。以下同じ。)をすることができる。